超音波検査

腹部超音波検査
(腹部エコー検査)とは

超音波診断装置(エコー装置)であるプローブをお腹の表面に押し当て、プローブから出る超音波が内臓で反射されることで、反射波を装置が察知し、電気信号に変換してモニターに投影します。鮮明な画像が映るように、装置を押し当てる部分にゼリーを塗布し、体位変更や深呼吸をしながら確認します。
血液、脂肪、空気、水などの組み合わせによって、超音波の反射度合いが変わるため、その差を反映した画像を確認することで様々な診断を行います。
腹部超音波検査(腹部エコー検査)では、膵臓、肝臓、胆のう、脾臓、腎臓、動静脈などの状態を確認できます。
当院ではご予約がない方でも当日検査をご案内できることがあります。午前に検査を受けたい方は朝食を控え、午後に検査を受けたい方は昼食を控えた状態でお越し頂ければ、診察の空き時間に検査を行います。土日は混み合いますので、平日にお越し頂くのが良いかと思います。検査結果は当日中に分かります。

超音波検査をお勧めする方

  • 健康診断や人間ドックで肝臓の数値が高い、もしくは肝障害だと分かった方
    (γGTP、ALT(GPT)、AST(GOT)、T-Bil(総ビリルビン)など)

  • B型・C型肝炎を患っている、もしくは過去に患っていた方
  • 胆のうにポリープや石がある方

  • 健診で精密検査をお勧めされた方(胆のうポリープ、胆石、肝血管腫など)
  • 糖尿病を患っている、もしくは最近症状が重くなってきた方
  • NAFLD/NASH(ナッシュ)、脂肪肝、肝硬変の疑いがある方
  • 腹痛がある方(側腹部痛、みぞおちの痛みなど)

超音波検査(エコー検査)が
見えにくくなる条件

プローブをうまく
当てられない

過度に痩せている方はプローブが浮いて検査しづらいです。

間に骨や空気が入る

超音波が奥まで届かないため、腸が肝臓の前に出てくると観察に支障をきたします。また、頭蓋内や肺などの観察も難しいです。さらに、食事をされた方は胃に空気が含まれるため、検査が難しくなります。

超音波が届きづらい

内臓脂肪や皮下脂肪が過剰な方は観察が難しいことが多いです。また、膵臓は身体の奥深くにあるため、全体像を把握しづらいとされています。

息止めや腹式呼吸が
難しい方

腹式呼吸をすると内臓が下に降りて超音波で察知しやすくなります。一方で、息止めや腹式呼吸が難しい方は、観察しづらいとされています。

当院の超音波検査の特徴

  • 肝臓以外の臓器も診察可能なため、総合的な診療ができます。
  • 超音波検査の結果は当日中にお伝えできます。
  • 午前・午後、土日も検査ができます。
  • 予約がない方でも当日検査を行えます(食事の状況によっては難しいこともあります)。
  • 検査はWEBから予約できます。

腹部超音波検査(腹部エコー検査)でみることのできる病気

肝臓

肝血管腫(かんけっかんしゅ)

肝臓にできる腫瘍の中で一番数が多いタイプであり、血管の細胞でできている良性腫瘍です。通常は良性ですが、中には少しずつ巨大化するものもあり、経過観察が必要です。定期的に検査を受けましょう。

脂肪肝(しぼうかん)

肝臓に脂肪が蓄積した状態です。健診で肝機能異常が判明する方によくみられる疾患です。高コレステロール血症や糖尿病などの生活習慣病と関連しており、飲酒、メタボリックシンドローム、運動不足などによって発症することが多いです。過去には治療しないこともよくありましたが、最近は飲酒習慣がない方でも肝細胞がん・肝硬変へ進行する場合(非アルコール性脂肪性疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎:NASH)も多く、注意が必要です。超音波検査だけでなく血液検査も重要です。
脂肪肝の診断を受けた方は、血圧、コレステロール、肝臓以外の臓器の疾患にも注意してください。

肝のう胞(かんのうほう)

肝臓の中に水風船のように水分が溜まる疾患です。比較的よくみられる疾患で、単発もしくは多発し、症状が現れないことがほとんどです。のう胞が巨大化すると、腹部の圧迫感や膨満感などの症状が起こります。また、遺伝の影響で腎臓でも同じようなのう胞が複数生じることもあります。

慢性肝障害(まんせいかんしょうがい)・肝硬変(かんこうへん)

肝障害が長引いている、もしくは過去に起こっていたことが想定されます。慢性肝障害の原因として、脂肪肝、飲酒、B型・C型肝炎、自己免疫性肝疾患などが挙げられます。原因を特定すること、そして現時点での進行度合いを確認するために詳しい検査が必要です。

肝腫瘍(かんしゅよう)

腫瘍の中には良性のものや悪性のものなど様々なタイプがあります。超音波検査だけで確認できる場合と、確認が難しい場合があります。難しい場合は、造影CT・造影MRI・肝生検などのより詳しい検査が必要となり、提携先の医療機関をご紹介いたします。また、別の臓器で生じたがんが肝臓に転移することもあるため、大腸などの臓器についても詳しく検査します。

その他

肝内胆管拡張・肝内胆管結石・肝内石灰化・気腫・肝のう胞性腫瘍などがあります。

胆のう

胆泥 (たんでい)

胆のうの内部に泥が蓄積する疾患です。感染や濃縮胆汁による炎症によって生じる場合もあります。がんなどの腫瘍とよく似た超音波の波形となることもあり、注意が必要です。また、泥に隠れて精緻に確認することが難しい場合もあり、詳しい検査が求められます。

胆のう結石(たんのうけっせき)

俗に言う胆石です。胆のうの中に生じる石のことで、胆管炎や胆のう炎を引き起こします。胆のうがんを併発することもあり、詳しい検査が求められます。特に、胆のう壁が分厚くなっている場合や、結石の後ろ側の胆のう壁をしっかりチェックできない場合は、要注意です。

胆のう腺筋腫症(たんのうせんきんしょう)

胆のう壁の全体もしくは一部が肥厚する良性疾患です。健康診断や人間ドックで判明することがほとんどで、受診者の約1%にみつかります。中には悪性腫瘍と区別しづらいものもあるため、MRIなどの精密検査を受けた上で経過観察する必要があります。

胆のうポリープ(たんのうぽりーぷ)

胆のう内部に生じるできもので、健康診断や人間ドックの受診者の約10%に見つかるとされています。大部分は良性ですが、中には悪性のものもあるため詳しい検査が求められます。

その他

胆のう気腫・胆のう腫大・胆のう腫瘍・胆のう腫瘤・胆管気腫・胆管結石・胆管拡張・胆管壁肥厚・胆管腫瘍・びまん性胆のう壁肥厚などがあります。

膵臓

膵のう胞(すいのうほう)

水風船に似た形状の病変です。消化液(膵液)が蓄積したケースや、炎症によって水分が蓄積したケース、水分が出る腫瘍が生じているケースなど、複数の病態が考えられます。良性と悪性の鑑別が困難な場合もあります。CTやMRI、内視鏡検査など詳しい検査が必要な場合もあります。

膵腫大(すいしゅだい)

膵臓が膨張して分厚くなった状態です。腫瘍や膵炎などの炎症の恐れもあるため、詳しい検査が求められます。なお、膵臓は人それぞれサイズが異なり、生まれつき大きな膵臓の方もいらっしゃいます。

膵萎縮(すいいしゅく)

腫大とは異なり膵臓が小さくなった状態です。慢性膵炎が最大の原因となります。膵萎縮では膵臓の機能が低下することもあるため、詳しい検査と治療が重要です。なお、疾患ではなく、生まれつき小さな膵臓の方もいらっしゃいます。

膵腫瘍(すいしゅよう)

膵臓の腫瘍の中には良性のものもあれば悪性のものもあります。悪性腫瘍の典型例である膵がんは、発症初期は悪性と判断しづらいことがほとんどです。膵腫瘍が発見されたら、速やかに詳しい検査を受けることをお勧めします。

その他

膵腫瘤・膵管拡張・膵石などがあります。

腎臓

腎のう胞(じんのうほう)

水風船のように水分が蓄積した状態です。比較的よくみられる疾患で、単発もしくは多発します。大多数は良性ですが、巨大化すると症状が現れるものもあります。また、のう胞が複数生じると腎機能が低下することもあります。

腎結石(じんけっせき)

腎臓に生じる結石です。微小なものは自然に排出されることもあります。巨大なものは尿路に詰まって痛みが生じる場合もあります(尿路結石)。

腎萎縮(じんいしゅく)

腎臓のサイズが異常に小さくなった状態です。慢性的な腎機能障害などによって、次第に腎臓が萎縮することがあります。結石や糖尿病性腎症によって萎縮が起こります。

水腎症・腎盂拡張(じんうかくちょう)

何かしらの要因で尿が滞留し、腎臓の中で尿が蓄積した状態です。腫瘍や結石によって起こっていることがあるため、詳しい検査が求められます。

腎血管筋脂肪腫(じんけっかんきんしぼうしゅ)

腎臓で発見されやすい良性腫瘍で、筋・血管・脂肪から構成されます。経過観察で済むことがほとんどですが、場合によっては出血のリスクも伴います。

腎腫瘍(じんしゅよう)

腎臓で生じる腫瘍には良性のものもあれば悪性のものもあります。腎細胞がんが悪性腫瘍の典型例です。

その他

腎のう胞性腫瘍・腎石灰化・馬蹄腎などがあります。

その他観察できる可能性のあるもの

腹水・心のう水・胸水・腹部大動脈・副脾・脾腫など

検査費用

  1割 3割
腹部超音波検査 約500円 約1500円

料金は概算です。上記の他、初診料、再診料、処方箋料などがかかります。

よくあるご質問

検査時間はどれくらいかかりますか?

15分〜20分程度です。

検査前の薬の服用について教えてください。

いつも通り服用してください。ただし糖尿病の薬は服用しないでください。

検査時の服装について教えてください。

ワンピースはお避けください。お腹を締めつけない楽な服装でいらしてください。

腹部以外で超音波検査を行うことはありますか?

動脈硬化の状態を確認するために頸動脈エコー検査を実施することもあります。婦人科臓器(子宮、卵巣)、心臓、乳腺、関節などを検査できる機器は当院にはございません。

腹部超音波検査だけでなく他の検査も可能ですか?

絶食状態で実施するため、同じ日に内視鏡検査を行うこともできます。その場合は、腹部超音波検査を先に行います。健康診断にて肝障害と胃レントゲン異常がどちらも分かった場合、超音波、血液検査、胃カメラを半日で実施できます。

検査を受けられるのは午前中だけですか?

絶食をするため午前中がベストですが、6時間程度の絶食時間を作って頂ければ午後に検査することもできます。なお、胆のうは水分補給などによって小さくなる場合があり、胆のうの検査を受けたい方は午前中に受けることを推奨します。