アニサキス

新鮮な魚介類を食べた後に
激しい腹痛が起こった

新鮮な魚介類を摂取して数時間〜半日経過してから強烈な腹痛が生じた場合は、アニサキス症の恐れがありますので、早急に胃カメラ検査を受ける必要があります。アニサキスは内視鏡スコープで取り除くことが可能で、除去できれば大抵は痛みがすぐに解消します。
なお、胃カメラ検査で取り除くためには、最後の食事の時間から6時間以上経っていないと消化中の食べ物が残った状態であり、全てのアニサキスを見つけられない恐れがあります。
当院では、アニサキスのように緊急性が高い場合も可能な限り対応しておりますが、原則は検査枠に余裕があり、最後の食事から6時間以上経っている場合に、当日の検査とアニサキスの除去を行っています。アニサキス症の疑いがあり、最後の食事から6時間以上経っている場合は、WEBから当日検査の予約を取って頂くか、お電話頂けますと幸いです。

アニサキスによって生じる症状

  • 強烈な腹痛
  • みぞおちの激しい痛み
  • 腹部の膨満感
  • 激しい吐き気、嘔吐

など

アニサキス症の症状は、放っておいても数日〜1週間もすれば治りますが、非常に強い症状が長引く傾向にあります。また、非常に珍しいケースですが、重症化のリスクもあるため、なるべく早めに胃カメラ検査を受けることを推奨しております。

アニサキスとは

アニサキスは寄生虫の一種で、海の中の魚介類に幼生が寄生し、最終的にはその魚介類を捕食した海洋哺乳類に寄生します。サバ、サンマ、サケ、イカなど、馴染み深い魚介類に寄生していることがほとんどです。体長は2〜3cm程度で、糸くずのような形状をしており肉眼でも見つけることができますが、筋肉の中に侵入すると見つけることは困難で、知らない間に摂取してしまうことがあります。アニサキスは人間には寄生できないため、約1週間で息絶えます。

アニサキス症の発症

新鮮な魚介類の生食、もしくはしっかりと加熱せずに摂取することで、生きた状態のアニサキスが体内に侵入し、消化管の粘膜を損傷させることで強烈な痛みなどの症状が現れます。魚介類の内臓に寄生していることがほとんどですが、宿主の魚介類が死亡すると筋肉まで移るため、刺身の摂取が原因で発症することもあります。
また、中心まできちんと加熱せずに魚介類を摂取することが発症原因ともなります。なお、酢締めではアニサキスは死滅しないため、シメサバなどの摂取が発症原因となることもあります。

胃アニサキス症

胃アニサキス症は、アニサキス症の大部分を占めるタイプのものです。アニサキスが寄生した魚介類を摂取して、数時間~半日程度経ってから急激な痛みなどの症状が現れます。胃やみぞおちの付近に波がある痛みが起こり、吐き気・嘔吐の症状も現れます。また、蕁麻疹などのアレルギー症状が現れる場合もあります。

腸アニサキス症

摂取後半日~数日経ってから症状が起こることもあり、原因不明の腹痛として相談される方もいらっしゃいます。腸アニサキス症は珍しいタイプでなかなか見られるものではありませんが、腸穿孔や腸閉塞などによって重症化するリスクもあります。

消化管外アニサキス症

滅多に起こるものではありませんが、アニサキスが消化管を突き破って外部に飛び出した状態です。発症部位に応じて適切な治療方法に違いがあり、消化管に穴が開くため、なるべく早めに検査を受けることを推奨します。

アニサキスアレルギー

アニサキスアレルギーを持つ方は、火を通してアニサキスが死滅している場合やしっかりと取り除いた場合でも、蕁麻疹などのアレルギー症状が現れることがあります。その日の体調によって起こり得る症状は異なり、呼吸困難や血圧低下などのアナフィラキシーショックに繋がる恐れもあります。アニサキスアレルギーを持つ方は、火を通しているかは関係なく、アニサキスが寄生している魚介類を摂取しないようにしてください。

アニサキス症の検査

胃カメラ検査(内視鏡検査)

ほとんどが該当する胃アニサキス症では、胃カメラ検査でアニサキスが見つかればすぐに取り除くことが可能で、大抵は取り除いてすぐに痛みなどの症状は解消します。また、滅多にないケースですが、腸アニサキス症の疑いがあれば大腸カメラ検査や腹部超音波検査を実施する場合もあります。当院では、内視鏡専門医が最先端の検査機器を用いて検査を行っており、鎮静剤を投与してウトウトしたような状態で検査を受けて頂くこともできます。

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血清検査

大腸や小腸にアニサキスが潜んでいる恐れがある際に実施します。採取した血液の中に抗アニサキス抗体があるかどうかを確認します。

超音波(エコー)検査

胃・大腸カメラ検査などの内視鏡検査では確認できない小腸で感染の恐れがある際に実施します。また、食後間もない場合は胃カメラ検査を行えないため、強烈な痛みが生じていて胃アニサキス症だけでなく、その他の疾患の恐れもあれば、最初に超音波検査を実施して状態をチェックする場合もあります。

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アニサキス症の治療

胃アニサキス症

胃カメラ検査でアニサキスの状態をチェックし、内視鏡スコープ先端から鉗子を出してアニサキスを取り除きます。アニサキスを完全に取り除くことができれば、大抵は痛みなどの症状が速やかに消えます。当院では、内視鏡専門医が検査を行い、患者様に苦痛を与えないようにしております。

アニサキスアレルギー

症状が軽ければ、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を使用すると効果的です。重症の場合はステロイドを使用することもあります。

腸アニサキス症

滅多に起こらないものですが、症状を落ち着かせるための対症療法が基本となります。

消化管外アニサキス症

腸アニサキス症よりさらに発症頻度は少ないものですが、強烈な腹痛や胃痛が起こり、速やかに専門的な検査を受けることで感染部位を特定し、最適な治療を実施します。

アニサキス症の予防

中心部まで70℃以上でしっかり火を通すか、60℃以上で1分間火を通すことでアニサキスは息絶えます。表面に火を通しても中心温度が低い状態だと、アニサキスが死滅せずにそのまま摂取してしまう恐れがあります。また、冷凍する際は、-20℃以下で24時間以上経つとアニサキスは死滅します。このような冷凍処置を実施した魚介類を解凍して刺し身などで摂取することは問題ございません。なお、新鮮な魚介類であっても内蔵にアニサキスが含まれている恐れがありますので、生食は控えた方が良いでしょう。また、アニサキスアレルギーを持つ方は、火を通したりアニサキスを取り除いてもアレルギー症状が生じる恐れがあるため、アニサキスが含まれるかもしれない魚介類は摂取しないことをお勧めします。