大腸ポリープと腺腫は何が違う?放置してはいけない「がんの芽」を専門医が詳しく解説
- ポリープと腺腫の基礎知識:その違いとは?
- なぜ「腺腫」は切除が推奨されるのか?
- 切除を判断する基準:「大きさ」と「性質」
- 腺腫を見極める「内視鏡の目」
- 当院でのポリープ切除(日帰り手術)と安全性
- 一人ひとりに最適な診断を
健康診断の便潜血検査で「陽性」と判定されたり、人間ドックの大腸カメラ検査で「ポリープが見つかりました」と伝えられたりすると、どなたでも強い不安を感じるものです。
「すぐに切除すべきなのか?」「放置しても大丈夫なものなのか?」と、必死に情報を探している方も多いのではないでしょうか。
しかし、一言に「ポリープ」と言っても、実はその中身はさまざまです。特に重要となるのが、将来的にがん化するリスクを持つ「腺腫(せんしゅ)」という存在です。
本ブログでは、ポリープと腺腫の違い、そして専門医がどのような基準で「切除の必要性」を判断しているのかについて、医学的根拠に基づいて解説します。
ポリープと腺腫の基礎知識:その違いとは?
まず知っておいていただきたいのは、「ポリープ」とは特定の病名ではなく、腸の粘膜にできた「隆起(いぼ)」の総称であるということです。その性質によって、大きく「腫瘍性」と「非腫瘍性」に分けられます。
ポリープの種類
腺腫(腫瘍性ポリープ)
将来的にがん化する可能性がある「がんの芽」です。良性の腫瘍ではありますが、放置すると増大し、その一部ががん化する性質を持っています。大腸カメラで見つかるポリープの多くはこの腺腫に該当します。
非腫瘍性ポリープ:
過形成ポリープや炎症性ポリープなどが含まれます。これらは基本的にがん化するリスクが極めて低いため、無理に切除する必要はなく、多くの場合、経過観察となります。
つまり、見つかったポリープが「切除して将来のがんを予防すべきもの」なのか、「合併症のリスクを冒してまで切除する必要がないもの」なのかを正確に見極めることが、専門医の重要な役割です。
なぜ「腺腫」は切除が推奨されるのか?
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なぜ専門医は、腺腫が見つかると切除を勧めるのでしょうか。
そこには「アデノーマ・カルチノーマ・シーケンス」という、大腸がんが発生する代表的なメカニズムが深く関わっています。「アデノーマ・カルチノーマ・シーケンス」という考え方
多くの大腸がんは、何もないところから突然発生するのではなく、良性の腺腫(アデノーマ)が数年かけて成長し、その過程で遺伝子の変異が積み重なって、がん(カルチノーマ)に変化するというプロセス(シーケンス)を辿ります。
この「がんになる前」の腺腫の段階で適切に切除を行えば、将来的にその場所から大腸がんが発生することを未然に防ぐことが期待できます。これが、大腸がんが「予防できるがん」と言われる理由の一つです。
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切除を判断する基準:「大きさ」と「性質」
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専門医は、検査中に見つけたポリープをすべて切除するわけではありません。主に「大きさ」と「性質(見た目)」を総合的に判断して、治療の必要性を決定します。
「5mm」という一つの目安
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一般的に、腺腫(腫瘍性ポリープ)の大きさが5mmを超えると、がん化のリスクが徐々に高まるとされています。そのため、5mm以上の腺腫は積極的に切除を行うことが推奨されています。
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5mm未満のポリープはどうするか?
- 5mmに満たない非常に小さなポリープの場合、その場ですぐに切除せず、定期的な検査で経過をみることもあります。ただし、小さくても表面の模様が複雑であったり、将来的にがん化するリスクが高い「微小がん」の疑いがある場合は、その場で切除を行います。
リスクとのバランス
- ポリープの切除には、わずかながら術後出血などの合併症リスクが伴います。当院では「切除によるがん予防のメリット」が「合併症のリスク」を上回ると判断される場合にのみ、患者様の安全を最優先に考えた最適な手法で処置を行っています。
腺腫を見極める「内視鏡の目」
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切除の必要性を正しく判断するため、専門医は内視鏡検査時に以下のような視点と技術を駆使して診断を行っています。
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表面構造の観察:
腺腫には特有の表面模様があります。この模様の規則性を詳細に観察することで、それが治療すべき「腺腫」か、放っておいてもよい「非腫瘍性ポリープ」かを判別します。
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NBI(狭帯域光強調)観察の活用:
- 特殊な青い光を当てることで、粘膜表面の血管を強調して映し出す技術です。腺腫は増殖するために多くの血管を引き込む性質があるため、NBIを使用することで、より精密な診断が可能になります。
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切除が必要と判断された腺腫については、多くの場合、検査と同時にその場で切除を行う「日帰りポリープ切除術(ポリペクトミー)」が可能です。
身体への負担を抑える工夫
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痛みについて
- 大腸の粘膜には痛みを感じる神経がないため、切除自体に痛みを感じることはありません。
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術後の管理 - 術後の経過や生活上の注意点(運動や食事の制限など)については、スタッフより丁寧にご説明し、安全性を第一に考えています。
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