内視鏡検査の費用詳細について
内視鏡検査は、消化器系の健康状態を評価し、病気の早期発見に不可欠な検査です。
しかし、多くの患者さんにとって、その費用は大きな懸念事項となりがちです。
内視鏡検査にかかる費用の詳細を、日本の公的医療保険制度と関連する制度を交えながら解説します。
費用に関する不安を解消し、安心して検査を受けていただくための一助となれば幸いです。
内視鏡検査の費用を知ることについて
内視鏡検査(胃カメラや大腸カメラなど)は、食道、胃、十二指腸、大腸といった消化管の内部を直接観察するために行われる重要な検査です。炎症、潰瘍、ポリープ、さらには早期のがんといった様々な病状の診断に不可欠であり、腹痛、出血、便通の変化などの持続的な症状の調や、定期的なスクリーニングとして推奨されることもあります。事前に潜在的な費用を理解することは、患者さんたちの経済的な心配を減らし、情報に基づいた意思決定を行う上で非常に重要です。
内視鏡検査の基本的な費用
内視鏡検査の費用内訳を解説します。
費用構成要素
- 検査費用:
内視鏡検査そのものにかかる費用です。
- 薬剤費:
消泡剤、検査前後の準備に使用される薬剤など、検査中に投与される必要な薬剤の費用です。患者の快適性を高めるためや、医学的必要性に応じて、鎮静剤が使用されることがあります。
- 組織検査費用:
検査中に医師が疑わしい部位を発見した場合、詳細な分析のために小さな組織サンプル(生検)が採取されることがあります。この生検とその後の病理組織学的検査には、別途費用が発生します。 - 診察費用: 検査前の診察と、検査後の診察(結果説明やフォローアップの相談など)の費用です。
一般的な検査の費用目安(3割負担の場合)
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日本の公的医療保険制度の下では、症状がある場合や健診異常があった場合は保険適用となり、患者は通常30%の自己負担となります。以下に、一般的な内視鏡検査の費用目安を示します。
- 胃カメラ(上部消化管内視鏡検査):
- 診断のみの場合: 生検や特定の治療が行われない場合、費用は約5,000円から15,000円が目安です。
- 生検ありの場合: 診断費用に加えて、生検と病理組織学的検査のために約3,000円から10,000円が追加されます。これは、異常な組織が特定され、詳細な分析のために採取された場合に発生します。
- 大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査):
- 診断のみの場合: 結腸内視鏡検査の基本的な費用は約6,000円から30,000円と、胃カメラよりもやや広い範囲になります。これは、検査前の準備や処置の複雑さの変動によるものです。
- ポリープ切除ありの場合: 検査中にポリープが発見され切除された場合、ポリープ1個あたり約10,000円から30,000円が追加されます。最終的な費用は、切除されるポリープの数、大きさ、複雑さによって異なります。
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一般的な検査の費用目安(3割負担の場合)
1割負担 3割負担 胃カメラ検査(観察のみ) 約1500円 約4500円 胃カメラ検査+病理組織検査 約3000円 約9000円
1割負担 3割負担 大腸カメラ検査(観察のみ) 約2000円 約6000円 大腸カメラ検査+生検による病理組織検査 約3000〜6000円 約9000〜18000円 日帰り大腸ポリープ切除 約9000〜11000円 約27000〜33000円 料金は概算です。内視鏡検査で使用する薬剤で多少前後することもあります。ポリープ切除術は個数や大きさで料金が変わります。診察代等は別途かかります。
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日本の公的医療保険制度
日本に居住するほとんどの人は、いずれかの公的医療保険制度に加入しています。
この制度の下では、患者は通常30%の自己負担(3割負担)となります。これは、保険が医療費の70%を負担することを意味します。
成人には3割負担が一般的ですが、非常に幼い子ども(例:2割負担)や高齢者(75歳以上の場合、所得に応じて1割または2割負担)など、特定の年齢層や所得層では自己負担率が異なることがあります。この細かな違いは、同じ検査であっても患者の年齢や所得によって実際の自己負担額が異なる可能性を示しており、特に経済的に脆弱な層に対しては、より大きな経済的救済が提供される仕組みとなっています。
検査理由、目的によっては保険適応にならない場合もあります。その場合はドック(自由診療)となります。